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  <title type="text">幸せ家族製作所</title>
  <subtitle type="html">２００７年某月某日　不幸な少年をどうしても幸福にしたくて作りました。</subtitle>
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  <updated>2007-02-14T19:25:19+09:00</updated>
  <author><name>神津あきら</name></author>
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    <published>2007-07-10T02:02:14+09:00</published> 
    <updated>2007-07-10T02:02:14+09:00</updated> 
    <category term="シュナイゼルの話" label="シュナイゼルの話" />
    <title>７月１０日はなんの日？</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p><br />
　シュナイゼルは不機嫌だった。<br />
　ここ数日ずっと不機嫌であるのだが、その理由がまた自分でも気に入らないものなのだ。<br />
　彼はこつりとカレンダーを叩く。彼の書斎にあるその卓上カレンダーはどこぞの誰かが贈ってきたもので、なかなかに趣味の良いフォトフレームのような木の枠が同じく木製のデスクに合っていて、くれたものの顔は覚えていないが気に入っている。<br />
　そのカレンダーには小さくしるしがついている。<br />
　仕事の予定に関しては、全て手帳に記してあるので、このカレンダーに書き込んであるそれは、ごくプライベートなものだ。そしてその「１０」のところには文字の書き込みはないのだが、小さく目立たないようにしるしがつけてあった。<br />
　忘れるはずもないのだが、ついつけてしまったそれを、実はシュナイゼルはこっそりと楽しみにしていた。<br />
　だが、事態は珍しくも彼の思うとおりに進まなかった。<br />
　基本的に、さまざまなことにとても優秀であるシュナイゼルは、先を見通す能力に長けている。それは彼が受けてきた教育に拠るところも大きいのだが、とにかく多くの物事は彼の予想通りに運び、彼はそれを当たり前のこととして受け入れてきた。<br />
　だが、最近どうもそれに当て嵌まらない存在が出てきてしまったのだ。<br />
「&hellip;&hellip;あの子は、本当に分からない」<br />
　眉を寄せて溜息を吐くシュナイゼルの言葉が指すのは、先日彼が養うことになった子供だ。<br />
　その子供の名は、枢木スザクと言う。<br />
　いろいろと複雑な子供ではあったが、シュナイゼルは彼をとても気に入り、放っておいてはいろいろと面倒を抱えることになってしまうスザクを引き取った。<br />
「家族」と呼ぶにはぎこちなさすぎるが、それでもそれなりに慣れてきたとは思う。<br />
　思うのだが。<br />
　どうにも彼の考える「普通の子供」の思考回路からずれている彼の考えることは、シュナイゼルには常に難解だった。<br />
（出会ったばかりの頃はそうでもなかったはずなんだが――）<br />
　両親を失くしたせいか、抱える複雑な状況のせいか、それとも単にやはり他人に世話になっているから申し訳ないとでも思っているのか、やたらと素直なようでいて素直でない、あまり子供らしくない子になりつつあって、シュナイゼルは実はかなり困っていた。<br />
　自分の呼び名が「俺」から「僕」に変わったのはいい。むしろ立場的には歓迎すべきだろう。<br />
　だが、自分のことに無頓着に過ぎるのはどうだろう、と思わざるをえない言動には頭を悩まされる。<br />
　――今回も、その典型だった。<br />
　彼を引き取る際、さまざまな手続きを踏み、当然その間目にした書類のいくつかに、彼の「生年月日」なるものがあった。そんな簡単な数字の羅列は、シュナイゼルなら一度目にすれば忘れない。<br />
　だから、しっかりと覚えていた&hellip;&hellip;のだが。<br />
「普通、こう、誕生日と言えば、どこかいつもと態度が違ったりだとか、それでなければ自分で口にしてみたりするものじゃないだろうか」<br />
　数日前だとか。<br />
　当日でも構わないが。<br />
『実は今日、僕の誕生日なんです』くらい言ってもいいんじゃないだろうか。<br />
　&hellip;&hellip;いやまあ、正直似合わないのだが。<br />
　スザクがそんなことを口にする姿を想像してみて、シュナイゼルは軽く首を振る。<br />
　が、似合うだとか似合わないだとかそんな問題ではなく&hellip;&hellip;どうせ、シュナイゼルがそんなことを知っているとスザクは思ってはいないのだ。だというのに、主張することすらしない。<br />
　親しい間柄の友人でも、相手の誕生日を知らずに過ごしてしまえば、後から後悔してしまうだろう。ましてや自分たちは、まがりなりにもこうして一緒に暮らしているというのに。<br />
　はあ、とシュナイゼルはもう一度溜息を吐く。<br />
　朝起きてから、先程帰ってきて宿題をすると部屋に入っていくまで、本当にいつもと何も変わらなかった。<br />
　一言だけ言ったのは「今日は家でお仕事なんですね」だけだ。<br />
　――何故今日は外での仕事を全て断ったと思っているのか。<br />
　いや、断ったなどと言ったわけではないので、それを察しろというのは無理かもしれないが、それでも察して欲しいというのがシュナイゼルの気持ちだった。<br />
　かちゃかちゃとキッチンの奥から聞こえてくるのは、ハウスキーパーが料理を作っている音だ。<br />
　彼女には今日はスザクの好物を作るよう、シュナイゼルは頼んである。<br />
　せめてそれを見て察してくれるのなら、まだいいのだけれど――どうにもそれは楽観的に過ぎる願望であるような気がしてきた。<br />
　だが、今になって「誕生日おめでとう」などと、何も言われていないのに自分から言い出すのも複雑な気分だった。<br />
　だから、できればスザクに気付いて欲しい、とシュナイゼルは切望していた。<br />
　もしかして自分の誕生日だからですか、と言葉に出さないまでも顔に出してくれれば、きっかけがつかめるというものだ。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　そこまで考えて、シュナイゼルはまた重い溜息を吐いた。<br />
　――こんなことで苦悩しているなどと、自分を知るものたちには絶対に知られたくないものだ、と。<br />
<br />
<br />
「ごちそうさまです」<br />
　スザクは日本人のしぐさで、手を合わせて言った。<br />
　とても美味しかったです、と笑う顔は子供らしいものだ。食器を重ねて流し場に持っていって、ハウスキーパーの女性にもお礼を言う。「どういたしまして」と言った彼女は、シュナイゼルに複雑な視線を向ける。<br />
　話には聞いたから、彼女もその可愛らしい子供に「誕生日おめでとう」と言ってやりたいのだろう。だが、シュナイゼルはあえて、スザクから何も言い出さなければ、それを口にしないで欲しいと彼女に頼んでいた。<br />
　そしてスザクはそのことについて、未だひとことも発してはいない。<br />
　&hellip;&hellip;つまり、シュナイゼルの期待は裏切られ、あまりよくない予想が当たってしまっているという状況だった。<br />
　自分の分の食器まで片付けるスザクを眺めながら、シュナイゼルはこっそりと息を吐く。<br />
（スザクは、私に祝って欲しくないのか）<br />
　他愛もない、けれど心情的には切実な問題だった。<br />
　片づけまで終えて「では」と帰っていったハウスキーパーを見送って戻ってきたスザクは、ぱたぱたと動いて「風呂」の準備を始める。<br />
　習慣としてあまり湯船につかる、というものがなかったのだが、最近はそれが習慣に変わった。「えぇ！？入らないんですか？」というスザクの言葉に触発されて、風呂を改造してしまったのだから、よく考えるまでもなく自分は相当この子供を気に入っているのだろう。<br />
　大き目の風呂を作って、顔を真っ赤にして湯船につかる子供を見ているのはなかなか楽しい。<br />
　お湯の流れる音を聞きながらそんなことを考えていたシュナイゼルは、はっと我に返る。<br />
（&hellip;&hellip;もう少しで今日も終わってしまうんだが）<br />
　そろそろ九時になってしまう。<br />
　あと三時間足らずで７月１０日&hellip;&hellip;つまりスザクの誕生日は終わってしまうのだ。<br />
「お風呂、もう少しで入ると思いますから」<br />
　笑顔で言う子供の姿は、いつもと何も変わらない。<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　シュナイゼルは呆れたような目でスザクを眺め、そして苦い笑いを漏らした。<br />
「どうかしましたか？」<br />
　不思議そうな顔に、こちらに来いと手招きをすると、素直に歩み寄ってきた子供が椅子の横で自分を見上げる。腹立ち紛れにその頬を軽く両側から引っ張ると、スザクがふにゃふにゃと何かを言う。<br />
　その声と表情が思いの外面白く、やっとシュナイゼルは少しだけ胸のすく思いを味わった。<br />
　折角用意したプレゼントが無駄に終わるのも業腹だ。<br />
　これ以上勝ち目のない我慢をしていても意味はない、とようやくシュナイゼルは諦めた。<br />
　まだ痛いのか、涙目で頬を押さえるスザクに笑みを向けて、尋ねる。<br />
「今日は一体何の日だ？」<br />
「&hellip;&hellip;え？」<br />
　きょとんとした表情は、可愛らしく間抜けなもので、シュナイゼルは脱力してしまった。<br />
「今日は何月何日だ？」<br />
「え、と――その、７月、１０日、です」<br />
　そろそろシュナイゼルが何を言いたいのか、スザクも気付き始めたらしい。言葉がところどころ途切れて「どうしよう」という言葉が顔に描いてあるかのような表情になってくる。<br />
「今日は一体なんの日だ？」<br />
　にこりともう一度問い掛けると、見上げていたスザクの顔がだんだんと下がっていく。<br />
　その顔の中で、表情だけが伺うように自分を上目遣いで見上げてくる。その様は、眺めている分にはしゅんとした子犬のようでなかなか可愛らしかったが、この期に及んで口にするのをためらっているその様子は、ひょっとして相当強情な子供なのだろうかと思わずには居られない。<br />
「え、と&hellip;&hellip;」<br />
「私が知らないと思っているのか？」<br />
　にこりと微笑むと、スザクの顔が困ったような表情を浮かべる。<br />
　自分から言った方がいいぞ、と言うとやっとあきらめたようにスザクはその言葉を口にした。<br />
「&hellip;&hellip;僕の、誕生日です」<br />
「そうだったのか、知らなかったな」<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　さっき知らないと思っているのか、と聞いてきたのに、とその目が訴えて来る。<br />
「おや、どうかしたか？」<br />
「&hellip;&hellip;怒ってらっしゃいます&hellip;&hellip;？」<br />
「怒ってなどいないぞ？」<br />
　にこりと笑えばそれはうそです、と返ってくる。<br />
　全く、とシュナイゼルは思ってしまう。こちらの感情の機微にはそれなりに聡いのだ。だが、あくまで機嫌の良し悪しが分かるだけなのだ。<br />
「うそだというのなら、何故私が怒っているというのか分かるのか？」<br />
「え、それ、は&hellip;&hellip;」<br />
　途端に言葉に詰まるのは、分かっていない証拠だ。<br />
　はあ、とあからさまな溜息を吐いてみせたシュナイゼルは、もう一度スザクの両頬をひっぱる。<br />
　面白い顔と、面白い声。柔らかい頬は手触りも良く弾力もある。ふむ、癖になりそうだなとシュナイゼルは考えながら、悪戯のようにそれを何度か引っ張って、離した。<br />
「まったくお前は」<br />
　呟いて、赤くなった頬を撫でているスザクの髪を掻き混ぜる。<br />
　どう言えば分かるだろうか、とシュナイゼルは考えていた。<br />
「お前には大事な人間は居るか？」<br />
「はい」<br />
　迷いなく答えるスザクに、シュナイゼルは思わずその中に自分が入っているか尋ねてみたくなったが、なんとなく怖いのでやめておく。<br />
「お前は、その相手の誕生日だとか、何か祝うべきことがあったときに、自分も祝ってやりたいとは思わないか？」<br />
「思います&hellip;&hellip;」<br />
「他の人間は知っているのに、自分は教えてもらえずに祝ってやれなかったら、どう思う？」<br />
「&hellip;&hellip;多分、寂しい気持ちになります」<br />
　頬を押さえながらスザクは、俯いてしまう。<br />
　その顔を挟み込んで持ち上げ、自分と向き合わせる。いつも鮮やかな緑を見せてくれる瞳は、寄せられた眉の下で暗く沈んでしまっていた。<br />
「&hellip;&hellip;正直、私も同じ気持ちだ」<br />
　寂しいという可愛らしい気持ちよりは、腹立たしい気持ちのほうが強かったが、ということは言わずにおく。<br />
　目をしばたかせて泣きそうな顔をみせるスザクに、これは半分だけしか理解されていないだろうな、と苦笑しながら、挟み込んだ顔を引き寄せてその額に口付けを落とす。<br />
「ぅ、ひゃ&hellip;&hellip;！？」<br />
　おかしな声を漏らすスザクに思わず口元が笑みを刻む。<br />
「私は、お前の誕生日を祝いたいと思っていた。そしてお前には私に祝って欲しいと思って欲しかった。&hellip;&hellip;だから、お前が自分の誕生日を言い出してくれるのを待っていたんだがな」<br />
「え&hellip;&hellip;」<br />
　目をぱちくりさせているスザクに、伝わりにくいか？と苦笑する。<br />
「お前のことは大切な家族のようなものだと思っている、という意味だ」<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;」<br />
　驚きに見開かれた瞳が、ふにゃ、という擬音が似合うような表情になるにしたがって涙を湛えていく。<br />
　それが溢れそうになったところで、スザクが小さく小さく、呟いた。<br />
「&hellip;&hellip;俺&hellip;&hellip;ごめん、なさい&hellip;&hellip;」<br />
　嗚咽交じりのちいさな声が、そんな図々しいことしちゃいけないと思っていました、と途切れ途切れに呟く。泣き出したスザクを膝の上に抱え上げ、シュナイゼルは世話のかかる子供だ、とできるだけ優しい声で言った。<br />
<br />
<br />
「えっと&hellip;&hellip;これ&hellip;&hellip;？」<br />
　スザクが戸惑ったような声をあげる。<br />
　彼が指差す先には、大きな生き物&hellip;&hellip;の模造品があった。<br />
　いや、模造品というほど似てはいないそれは、さわり心地のよさそうな「ぬいぐるみ」というものだ。一瞬虎か何かだろうかと思ったのだが、単に虎猫を巨大にしてあるようであり、その時点でスザクの目から見ても、相当可愛くない代物になっていた。<br />
「猫が好きだけど、あまり好かれないと言っていただろう」<br />
「いえ、それはそうなんですけど&hellip;&hellip;」<br />
　それにしたってなんでぬいぐるみなんだろう、とスザクはなんと言っていいかわからずに微妙な表情になってしまう。<br />
「お前と同じ年頃の子供に尋ねたら、だったら猫のぬいぐるみでもプレゼントしたらどうだ、と勧められてな。小さいよりは大きいほうがいいかと思ったんだが」<br />
　大きければいいというものではない気が、とスザクは思うがそれが純然たる好意だと分かっているのでなかなか口にしづらい。<br />
「子供はぬいぐるみが好きなのだろう？」<br />
　スザクの表情に気付いたシュナイゼルが尋ねてくる。<br />
　お前は嫌いなのか、と。<br />
　スザクは「う」と言葉に詰まる。<br />
　彼の頭の中には、今回のことでシュナイゼルにひどく申し訳ないことをしてしまった、という気持ちがあった。その気持ちが、正直な感想を口にすることを躊躇わせた。<br />
　――折角用意してもらったプレゼントなのに、嬉しくないなんて申し訳ない、と。<br />
　にこ、とどこかぎこちない笑みをスザクは浮かべる。<br />
「好き&hellip;&hellip;というか、その。嫌いではないというか&hellip;&hellip;嬉しい、です」<br />
「&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;&hellip;そうか、それはよかった」<br />
　シュナイゼルは笑みを浮かべる。<br />
　スザクのあまりにも微妙な表情に、勿論シュナイゼルはそれが素直なスザクの感想ではないと分かった。そういえば、と今更ながらに思い出してみる。どうにもシュナイゼルの中で彼は７，８歳くらいというイメージがあるのだが、今日で１１歳になるのだな、と。<br />
　よく考えてみるまでもなく、１１歳の少年が猫のぬいぐるみを貰って「嬉しい」と喜ぶはずもない。<br />
　明らかに無理をして笑っているスザクに、また要らぬ気をつかっているな、と呆れてしまったが、これはこれで結構面白いか、とスザクとぬいぐるみを眺める。来年は年齢相応のものを贈ろう、と思いながらも自分のベッドから拾い上げてそれをスザクに手渡す。<br />
　自分の身長ほどもあるそれを、引き摺ることも出来ずに抱えるスザクの姿は、思わず笑みが漏れるほどに愛らしい。<br />
「では、大切にしてやってくれ」<br />
「――はい」<br />
　シュナイゼルの言葉に、スザクは今度は真剣な顔で頷く。<br />
　嬉しいかどうかは別にして、そこには自分が与えたプレゼントに感謝して、大切にしようという気持ちが感じられて、シュナイゼルはもう一度微笑む。そして、ぬいぐるみに埋もれそうになっているスザクの頭を撫でた。<br />
「来年は、一緒に選ぶのがいいな。そうしたら、お前が欲しいものがプレゼントできる」<br />
　今年はそれで我慢してくれ、とお前の考えくらい分かっているとばかりに言うシュナイゼルに、何か言葉を返そうと顔を上げたスザクは、諦めたように息を吐く。<br />
　だが、それでもこれだけは、ともう一度顔を上げて、はるか上空にあるシュナイゼルの顔を見上げて、彼の名前を呼ぶ。<br />
「あ、の。ありがとうございました」<br />
　本当に。<br />
　本当にすごく嬉しかったです。<br />
　そう真面目な顔で言ったあと、やや照れてしまったように俯いたスザクに、シュナイゼルは思わず苦笑してしまう。<br />
　ぬいぐるみごとスザクを抱き上げて、この上ない笑みを彼に向ける。<br />
「お前は、人をたらす才能があるな」<br />
「たらす？」<br />
　大きな目を不思議そうに丸くする少年を眺めながら、シュナイゼルは笑う。<br />
「そんな風に言われたら、これからもずっと祝い続けてやりたくなる」<br />
<br />
　来年も、再来年も、その次も。<br />
　お前が生まれてきた特別な日に「おめでとう」と、ずっと。ずっと言い続けていきたいと。そんなことを思ってしまう。<br />
<br />
「あ、の。そんなつもりじゃ&hellip;&hellip;」<br />
　真っ赤になって照れるスザクに、心の内で問い掛ける。<br />
　お前は、知っているだろうか、と。<br />
　私は、誰かにこんな気持ちになったことなどないということを。<br />
　笑っていて欲しい、ではなくて。自分が笑わせてやりたいと、そんな風に思い、そして未来を望むなんていう気持ちを抱いたのは初めてで。らしくもなくいろいろと自分も戸惑っているのだと。<br />
　それくらい、特別なのだと。<br />
<br />
「Happy Birthday,Suzaku」<br />
<br />
　甘く、優しく、慣れた母国の言葉で囁く。<br />
　物慣れないこの感情は、それでも甘く心地よい。腕の中の子供が笑っていてくれることが、嬉しい。<br />
　願わくば、この先何度でもこの気持ちを抱きたい。<br />
　そう願いながら。<br />
<br />
<br />
****************************************************<br />
スザク誕生日ネタ。<br />
不機嫌はどこにいったんでしょうか、シュナ様。いんです、誕生日なんだから。<br />
結局書きおわったのは、日付をふたつも越えてしまってからですが、なんとかこれでお祝いです！スザクが大好きです！（分かったから）<br />
最後までお付き合いいただいた方、本当にありがとうございました。<br />
次も祝えたらいいなあ、と思いながら。これにて。<br />
</p>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/41</id>
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    <published>2007-05-06T18:35:47+09:00</published> 
    <updated>2007-05-06T18:35:47+09:00</updated> 
    <category term="チームブリタニア" label="チームブリタニア" />
    <title>春の女神　夏の女神</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<p align="left"><br />
　今日はお客様が来るという。<br />
　スザクはぱたぱたと紅茶の準備をしながら、なぜ今回はシュナイゼルがお手伝いさんたちを休ませたのだろうと考えていた。どちらかというといつもは自分を表に出したがらないシュナイゼルが、何故か今回に限っては「もてなしを手伝ってくれるか」とわざわざ頼んできた。<br />
　勿論それを断れるはずもなく、また「手伝う」という言葉に嬉しくなって思い切り「はい」と答えたスザクだったが、今頃になって何故だろうということが気になり始めたのだ。<br />
「やってくるのは私の妹なんだよ」と言ってはいたけれど、それが理由だろうか、と首を捻る。<br />
　そういえばここに住み始めてから１年近く経つけれど、シュナイゼルの家族に会うのは――先に会っていたルルーシュやナナリーを覗けば――初めてだ。<br />
　ふとそんなことを考えてしまって、スザクは何故か妙に緊張してしまう。<br />
（シュナイゼルさんの家族&hellip;&hellip;）<br />
　ブリタニア、といえば経済のことなんてまるで知らないスザクでも知っている会社の名前だ。シュナイゼルはそのブリタニア財団の総帥の息子の一人であり、ということは当然その「妹」も同じ立場なわけで。<br />
　シュナイゼルはそうではないけれど、そういった立場の人間は尊大で鼻持ちならない性格が多いことをスザクはよく知っていた。スザク自身も名門の血筋の人間であり、親族にそういった輩が多かったのだ。&hellip;&hellip;スザクの父親自身にもそのきらいはあった。<br />
　そういう人じゃないといいな、とスザクはこっそりと溜息を吐いた。<br />
「これくらい、かなあ？」<br />
　掃除はした。<br />
　お茶の準備も、昨日家政婦と一緒に焼いたお菓子も用意した。<br />
　女の人なんだからと庭に咲いている花も少しだけ切って机に飾った。<br />
　はっきり言ってしまえば、こんなことしたことがないので、どんなことをしたらいいのかさっぱり分からなかった。お茶の準備くらいしてくれればいいと言われたからやっているが、本当にそれくらいしか出来ない。<br />
　これでいいんだろうかと悩んでいると、階段を下りてくる足音が微かに聞こえた。<br />
　扉が開き、シュナイゼルが入ってくると、部屋の中を眺めてひとつ頷く。そして、可笑しそうに笑う。<br />
「花まで飾ってくれたのか。ありがとう」<br />
「&hellip;&hellip;はい！」<br />
　ありがとう、と言われてスザクは嬉しげに頷く。<br />
「私のほうも仕事が片付いたから手伝おうかと思ったが、充分だな。もうそろそろ来ると思うから、あとはゆっくり待って――ああ、エプロンだけ外しておいてくれるか？」<br />
　子供に世話をさせているのかなどと言われてはかなわないから、と言われてスザクはエプロンを外す。充分、と言ってもらえたことでこれでよかったのだと安心しながら。<br />
「お世話になってるのは僕ですけど&hellip;&hellip;」<br />
「そうなんだがな。ただ、いろいろ勘繰られてもいる。あのシュナイゼルが子供を引き取って何を企んでいるんだ、とな。わざわざ噂のネタを提供してやる必要もないだろう」<br />
　苦笑しながら、ロイド辺りが聞いたら大笑いしそうだと考えながらシュナイゼルは言う。<br />
　スザクにはよく意味が分からなかったが、シュナイゼルの言うことはだいたいにおいて間違いはなかったので、そのまま言葉に従う。<br />
　そして脱いだエプロンをたたんでいると、チャイムの音が響いた。<br />
「来たようだな」<br />
　そういってドアホンの通話ボタンを押して一言二言話したシュナイゼルは、スザクを振り返る。<br />
「もうすぐドアに着くと思うから出迎えてやってくれるか」<br />
「はい」<br />
　頼まれたスザクは勢いよく頷いて、部屋を飛び出す。<br />
　それから慌ててしまった自分をたしなめるように歩調を緩め、緊張をほぐすように深呼吸する。たどり着いた扉の前でもう一度大きく息を吐くとよし、と気合を入れて鍵を開け、扉を開いた。<br />
<br />
　――開かれた扉の向こうには、ピンク色が広がっていた。<br />
<br />
(5/5)<br />
<br />
「はじめまして。わたくしユーフェミアと申します」<br />
　にこ、と満面の笑顔で言われて、スザクも反射的に笑顔を返す。<br />
「はじめまして。僕は枢木スザクです」<br />
　同じように名乗ると、ふふ、と嬉しそうに笑われる。濃い桃色の髪をした少女は、どこか浮世離れしていたけれど可愛らしく、人懐こい笑顔と仕種は、どちらかというと警戒心の強いスザクにも容易く笑顔を浮かべさせた。<br />
<br />
　スザクが扉を開いて出迎えた先には、二人の女性がいた。<br />
　一人は長身できれいだけどややきつい顔立ちをした紫とピンクの中間のような色の髪をした人。そしてもう一人が今スザクとほのぼのとした挨拶を交わしているピンクの髪の少女だった。<br />
　年少組の微笑ましい会話とは少し離れた場所で、年長組の二人は紅茶を飲みながらそれを眺めている。<br />
　スザクが「きれいだけどややきつい顔立ち」と心の中で表した女性は、シュナイゼルの義妹であり、ユーフェミアの同母の姉であるコーネリアと言った。<br />
　彼女は知る人ぞ知る――というか、知っている人間は、本当によく知っているシスターコンプレックスの持ち主だった。<br />
　ブリタニア財団はその巨大企業という性質上、トップに近い人間はさまざまな意味で危険が身近になってしまう。&hellip;&hellip;ようは誘拐だの暗殺だのという物騒な言葉が横行している世界に住んでいるのだ。<br />
　そして、ユーフェミアもその危険に晒されたことが一度だけあった。<br />
　もともと家族をとても愛していたコーネリアはそれ以来、過剰なまでに妹を気遣うようになった。大切に守り、危険から遠ざけ、自分が強くなろうとしていた。<br />
　そんな過保護なコーネリアは、目の前とはいえ、得体の知れない子供がユーフェミアと楽しそうに会話をしているのにやや心配げな視線を向けながら、義兄に疑問を投げかける。<br />
「義兄上、あの子供は一体義兄上のなんです？」<br />
　ストレートな質問を真っ直ぐぶつけてくるコーネリアに、シュナイゼルは思わず苦笑してしまう。<br />
　ゆったりとした仕種で紅茶を一口飲んで、スザクも上達したななどと考えながら僅かに首を捻って質問を返す。<br />
「それは、お前の質問か？それとも、別の誰かの質問か？」<br />
「&hellip;&hellip;どういう意味です」<br />
「そのままの意味だよ。どうせ誰かに探って来いと言われているのだろう？私の弱みを探りたい輩などそこら中に居るだろうからね」<br />
「私にはそんなつもりは――」<br />
「そうかな？そういうことにしておいてもいいが。――最も、お前が最優先に考えているのはユフィの幸福と安全だけだろうけれど、お前は優秀だからな。おまえ自身に野心はなくとも利用したいと思う輩は居る。担ぎ上げたいと思う輩もね」<br />
　シュナイゼルの言葉に、コーネリアは顔を顰める。<br />
　言われている意味は分かる。馬鹿馬鹿しいほどによく分かってしまう。<br />
　大体において、彼女の前にいる義兄は頭が良すぎる。そして能力が高すぎる。コーネリアの目から見ても、他の兄弟たちから頭ひとつ飛びぬけている。そんな彼は、野心家の一族たちが当主として担ぎ上げるにはあまりにも切れ者過ぎた。<br />
　――コーネリアにしても、この頭の良すぎる義兄が自分の上に立つ、というのはあまり歓迎したくなかった。馬鹿すぎても困るが、何を考えているか全く読めない相手、というのはもっと困った。<br />
　だからこそ、出来れば弱みのひとつでも握りたいという人間の気持ちは分かったし、あわよくば自分でも掴むことができればいいと思ったのだが&hellip;&hellip;<br />
　全てを見透かすような表情で微笑まれてこんな言葉を口にされては、諦めるしかないだろう。<br />
　余計なことをしてこの義兄に「敵」と認識されてしまっては、それこそ本末転倒だ。<br />
「――私の純粋な興味です」<br />
　苦虫を噛み潰したような表情でコーネリアがそう言うと、シュナイゼルはにこりと笑った。<br />
「そうか。それはよかった」<br />
　何が良かっただこのタヌキが、とコーネリアはやたらときれいな笑顔にこの紅茶をかけてやりたい気持ちを抑えながら、それを一口飲んだ。<br />
　――意外に美味しいそれは、先程眼前でスザクが淹れたものだった。<br />
<br />
(5/6)<br />
<br />
*******************<br />
あ、あれ？なんでこの二人、こんな会話始めちゃったの&hellip;？＜ヲイ<br />
いやその、もっとほのぼのした出会編を書くだけのつもりだったんですが&hellip;&hellip;次回軌道修正します。<br />
このお話は、連載とは違って追記しながら続けて行く形にしたいと思います。そんなに長くはならない予定なので。</p>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/40</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E9%80%A3%E8%BC%89%E4%B8%AD/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%80%81%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%82%E3%81%AE%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%94%EF%BC%89" />
    <published>2007-04-16T00:21:42+09:00</published> 
    <updated>2007-04-16T00:21:42+09:00</updated> 
    <category term="連載中" label="連載中" />
    <title>それは、大切なたからもの（１４）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[（３日目　その４　スザクの不安）<br />
<br />
　ぼすり、とベッドに飛び込む。<br />
　枕に顔を押し付けるようにすると、目に滲んでいた涙が染みこんでいく。泣いているつもりなどなかったのに、涙が浮かんでいたことにそのときやっと気付いた。<br />
　――考えすぎなのかも知れない。<br />
　けれど、なんとなくそうなのだと感じてしまった。そして感じた途端に、ふと振り返ったロイドと視線が合ってしまい、スザクは慌てて逃げ出してしまった。<br />
（どうしよう）<br />
　こんな風に逃げ出したら、余計におかしいんじゃないだろうか。<br />
　こんな風にしたら、シュナイゼルなどは見事に逃げ出す前に捕まえて理由を聞きだそうとする。別に、何かおかしなところを見てしまったわけではないのだから、こんな態度をとらなくてもよかったのに。<br />
　丁度、考えていたこととぴったりと合ってしまうようなロイドの様子だったのだ。<br />
　迷惑じゃないだろうかと考えていた。<br />
　そうしたら、考え込むようにして、それから重い溜息を吐くロイドの姿があった。<br />
<br />
　――ああ、自分のせいだと、思った。<br />
<br />
　ロイドには似つかわしくない溜息。それを吐かせているのは、きっと自分だと。そう思ったら泣き出しそうになって、逃げるように駆け出していた。<br />
　考えすぎなのかもしれない。<br />
　けれど、思わずには居られなかった。<br />
　どうしよう、という言葉が頭を駆け巡る。あんな態度を取ってしまった。自分の思い込みなだけかも知れないのに、あんな態度を取ってしまったら、次にどんな顔をして自分はロイドを見たらいいのだろう。どうしたんだと聞かれたらどう答えたらいいのだろう。<br />
　どうして、逃げてしまったりしたのか。<br />
（どう、しよう）<br />
　どうしたらいいのか、誰か教えて欲しかった。頭の中がぐちゃぐちゃで、誰かに教えて欲しかった。<br />
「シュナイゼル、さん――」<br />
　ぽつりと声が漏れてしまった。<br />
　ひっく、と自分の咽が鳴る。<br />
　金色の髪と、菫色の瞳と、優しい声が記憶の中によみがえる。今まで生きてきた中で、一番優しかった人。優しいばかりではないけれど、だからこそ一番優しいと思えた、人。いろんなことを教えてくれて、生きるということを教えてくれた人。<br />
　父でも母でもなく、こんなとき、助けて欲しいと顔が浮かんでしまったことに、驚く。<br />
　会いたいと思ってしまった。<br />
　けれど、今彼が居る場所を考えればそんなことは不可能だと分かる。声だけでもと思うけれど、外国なんてどうやって電話をしたらいいかも分からない。<br />
「僕、どうしたら、いいんだろう」<br />
　ロイドさん、絶対に変に思っている、とスザクは小さく呟いた。<br />
　顔を、合わせづらい。<br />
　どうしようと、そればかり考えているスザクの耳に、今一番聞きたくなかった声が聞こえて来たのは、そんなことを悩み始めてしばらく経ってからのことだった。<br />
　ノックの音に続いて、特徴のある声が響く。<br />
<br />
「スザク君～、ちょっといいかなあ？」<br />
<br />
<br />
**********<br />
次の日に突入しようと思っていた気がするんですが、何故かこのまま同日内でやってしまうことにしました。（話と話の間が２週間も空いてしまったことは内緒の話です＜内緒になるかい）<br />
またちまちまと頑張ります！<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/39</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B%EF%BC%88%EF%BC%94%E6%9C%88%EF%BC%89" />
    <published>2007-04-03T09:14:50+09:00</published> 
    <updated>2007-04-03T09:14:50+09:00</updated> 
    <category term="メールフォームお返事" label="メールフォームお返事" />
    <title>メールフォームお返事（４月）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<div class="EntryText">メールフォームへのお返事置き場です。とりあえずそんな多いこともなさそうなので、月ごとに１つの記事でお返事させていただいて追記して、という形にしようかと思っています。<br />
お言葉はいつもとても嬉しいです。ありがとうございます。<br />
</div><br /><a href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B%EF%BC%88%EF%BC%94%E6%9C%88%EF%BC%89" target="_blank">お返事はこちら</a>]]> 
    </content>
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            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/38</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E9%80%A3%E8%BC%89%E4%B8%AD/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%80%81%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%82%E3%81%AE%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%93%EF%BC%89" />
    <published>2007-04-01T02:33:31+09:00</published> 
    <updated>2007-04-01T02:33:31+09:00</updated> 
    <category term="連載中" label="連載中" />
    <title>それは、大切なたからもの（１３）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[（３日目　その３　ロイドの不思議）<br />
<br />
　可愛い子だとは思う。<br />
　面白い素材だとは思う。<br />
　けど、そこまで肩入れするのはどうかと思うんだけど。<br />
<br />
　セシルが撮った写真をふと眺めてみて、思わず頬と口元が緩む。ぬいぐるみと子供、という取り合わせは誰でやってもそれなりに可愛くなるだろうけれど、１２歳の少年ということを考慮すると、これは多分特別に可愛いと表現して差し支えないのではないだろうかとロイドは思う。<br />
　が、まあそれは結果論だ。<br />
　こういう組み合わせを考え実行した友人のことを考えると、少しばかり寒い気持ちにもなる。<br />
　それに。シュナイゼルといい、セシルといい、あそこまで他人の子供を可愛がる気持ちは、ロイドには理解しがたい。（いやそもそも自分の子供であっても彼には理解しがたいのだが）<br />
　面白い子供だとは思った。<br />
　彼らとは別の意味で。<br />
　反射神経の塊のような子供だった。たかがゲーム、されどゲーム。難度の高さが売りのシューティングゲームや格闘ゲームをああまで見事にこなすその反射速度と動体視力は文句のつけようもないし、ついでにいうのなら頭も悪くない。前々から試してみたいと思っていた新システムも、あの子なら面白い結果が出るだろう。<br />
　そういう意味では、ひどく興味深い。<br />
　一緒に暮らすのも、悪くないかも知れない。<br />
　ただ、それはあくまで素材としてだ。<br />
　あの二人のように、愛情を傾けて可愛がって大事にして、そしてそれで喜ぶなんていう真似は到底出来ない。<br />
『スザク君、なんだか普通母親がやってくれそうなことをあの年で出来てしまうんですよね&hellip;もしかしてお母さんがいないのかしら』<br />
　いや世の中には多分そういう子供はそこそこ居るからそうかも知れない、と答えたら怖い目をされたので「じゃあ直接本人に聞いてこようか」と言ったら力いっぱいセシルに殴られてしまった。<br />
　もうほとんど過保護な母親に片足を突っ込んでいるセシルを眺めて、さてどうしようなどとロイドは思ってしまう。<br />
　そういうものを期待されるのは困るのだ。<br />
　何故そんな無神経なことを言うのかと聞かれても、困るのだ。<br />
　素材として興味を抱くことは出来るのだけれど、それ以上を求められても困る。自分がそういう人間だということは、セシルもよく分かっているだろうに、と考えてしまう。<br />
　ロイドは溜息を吐いた。<br />
<br />
　――ふと、視線を感じた。<br />
<br />
　振り返ってみれば、そこにはスザクが居て、慌てたように視線を逸らして何も見ていないとでもいうようにぱたぱたと走り去ってしまった。<br />
　不思議な顔をしていた。<br />
　不安そうな、辛そうな。<br />
（何考えてるのかなあ？）<br />
　あまりいいことではないような気がする。<br />
　あのスザクという少年は、あの年の子供にしてはいろいろなことを経験しているせいか、どうも抱え込んで考えてしまう傾向があるようだ、とはシュナイゼルが時折ぼやいている言葉だ。<br />
　あれは、多分そういう表情だ。<br />
　自分は何かやってしまっただろうか。<br />
　困ったような、不安げな、辛そうな表情。分かり難いそれは、けれど放っておいてはいけないような気がして、ロイドは思わずと言った風に立ち上がりかけて、ふと気付く。<br />
<br />
（あれ？なんで僕が？）<br />
<br />
　おかしい。<br />
　さっきまで考えていたことと、何か違うことをしようとしていた気がする。<br />
　ちょっと待て、と自分に命じてもう一度腰を下ろす。こんなのらしくないじゃないか、と。そわそわとなってしまう自分を感じて、首を捻る。<br />
（あれぇ？）<br />
　なんだろう、これは。<br />
<br />
<br />
**********<br />
ロイドさんは、無自覚。ていうか、自覚するのに少しばかり時間が掛かる。むしろ指摘されたら否定したくなる感じに。<br />
&hellip;でもいつかは認めなきゃならない。<br />
２３話、あのロイドさんは心配していました。スザクのことを。多分、同情もしていたと思う。そういうのを見せないように、出さないようにしている人だと思うのに、ああいう表情を見せたことに少し驚いた。あの人、いい人だ&hellip;<br />
特派だけは心の安らぎだと思いました。<br />
ちなみに同居人はロイドさんの「わぁお、もう何がなんだかぁ～」（のような台詞）に、力いっぱい頷いていました。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/10</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B%EF%BC%88%EF%BC%93%E6%9C%88%EF%BC%89" />
    <published>2007-03-31T23:58:02+09:00</published> 
    <updated>2007-03-31T23:58:02+09:00</updated> 
    <category term="メールフォームお返事" label="メールフォームお返事" />
    <title>メールフォームお返事（３月）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[メールフォームへのお返事置き場です。とりあえずそんな多いこともなさそうなので、お返事させていただいて追記して、という形にしようかと思っています。<br />
お言葉はいつもとても嬉しいです。ありがとうございます。<br /><br /><a href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B/%E3%83%A1%E3%83%BC%E3%83%AB%E3%83%95%E3%82%A9%E3%83%BC%E3%83%A0%E3%81%8A%E8%BF%94%E4%BA%8B%EF%BC%88%EF%BC%93%E6%9C%88%EF%BC%89" target="_blank">お返事はこちら</a>]]> 
    </content>
    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/37</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E9%80%A3%E8%BC%89%E4%B8%AD/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%80%81%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%82%E3%81%AE%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%92%EF%BC%89" />
    <published>2007-03-31T01:41:46+09:00</published> 
    <updated>2007-03-31T01:41:46+09:00</updated> 
    <category term="連載中" label="連載中" />
    <title>それは、大切なたからもの（１２）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[（３日目　その２　セシルの視線）<br />
<br />
　可愛い子供だと思う。<br />
　けれど、それと同時に、とても心配になる。<br />
<br />
　彼は、一体どんな生活を送ってきたのだろう、と。<br />
　家事全般こなすことが出来る小学生の男の子というのは、一体どういうことだろう。別にシュナイゼルが好んでそんなことを子供にさせるような人間ではないことをセシルは知っている。尋ねてみれば、お世話になっているからやることにしたという。しかも、前からやっていたから、と。<br />
　母親がいなかったのだろうかと想像してしまうのだが、いきなりそんなことを聞くのはさすがに躊躇われた。（ロイドに相談してみたら「そんなこと本人に聞けばいいじゃない～」、とスザクに尋ねに行こうとしたので、とりあえずセシルは力いっぱい殴っておいた）<br />
　ものの考え方も、時にひどく子供らしくないことがある。<br />
　遠慮することをおぼえてしまっている、というのだろうか。それすらも隠そうとしているようだったが、時折本当に心配げに見てくる顔を、セシルは何度か見ていた。<br />
　いきなり一緒に暮らせ、と言われても困るだろうとは思う。<br />
　けれど、その困る理由が、子供らしくない。<br />
　住み慣れた家や相手と離れるのが嫌だという理由ではなく、迷惑をかけてしまうのが怖い、とでもいうようなその顔が、この年の子供としてはひどく不釣合いだ。<br />
（一体、どんな風に育ってきたのかしら）<br />
　勝手に想像してはだめだとは思う。<br />
　けれど、考えてしまうのだ。<br />
<br />
　もしかして、あまり親の愛を受けていなかったのではないのだろうか、と。<br />
<br />
　あまりにも甘えることに不器用なのだ。<br />
　ありがとうもごめんなさいも知っている。けれど、人の好意に触れたときに見せる戸惑うような表情。<br />
　それは、シュナイゼルに対してすら抱いているような気がする。<br />
　――まあ確かに、血も繋がっていないのにいろいろしてもらっている、と考えるとそういう心情は理解できないこともない。<br />
　けれど、それでも。<br />
　困ったように微笑む顔には、胸を締め付けられる。<br />
　可愛くて、愛しくて。<br />
（確かに血は繋がっていないけれど）<br />
　愛してあげられる。いや、もう既にあの子供のことが、セシルは大好きで愛しかった。<br />
　優しく、どこか大人びているのに、不器用なスザクのことが。<br />
<br />
<br />
**********<br />
白状します。<br />
&hellip;ほとんど私が宿っている感じで。＜はい？<br />
あと一言ロイド視線を入れたら４日目に突入します。]]> 
    </content>
    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/36</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E9%80%A3%E8%BC%89%E4%B8%AD/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%80%81%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%82%E3%81%AE%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%91%EF%BC%89" />
    <published>2007-03-29T01:35:11+09:00</published> 
    <updated>2007-03-29T01:35:11+09:00</updated> 
    <category term="連載中" label="連載中" />
    <title>それは、大切なたからもの（１１）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[（３日目　その１　スザクの気持ち）<br />
<br />
　ロイドさんもセシルさんも、ちょっと変わっているけれど、いい人たちだと思う。<br />
　ロイドさんは、ゲームが好き。といってもやるのが好きなわけではないらしい。作るのが好きだと言う。何が面白いのかは分からないが、それを攻略されるのを見ているのも面白いらしい。スザクが次々とクリアしていくのを見ながら、異様に楽しそうにしていた。それと同時に、もっと難しいのを作りたい、とも。<br />
　子供のような人だ、とスザクは思ってしまった。<br />
　１２歳の子供に思われたのではさぞかしロイドにも言いたいことがあったろうが、残念ながらスザクの心の声は聞こえておらず、反論も勿論ない。<br />
　セシルさんは、ロイドさんの奥さん。<br />
　とても優しい人で、スザクは優しくされすぎてどうしようと思うが、どうも自分が年齢以上に子供扱いされているような気がして、時折困ることもある。それに、とても優しいはずなのだが、たまにとても怖いことがある。笑顔なのに怖いのだ。特にロイドが態度が悪いときにでるその怖い笑顔は、スザクですらも一瞬身構えてしまうようなそれだ。<br />
（二人とも、いい人だ）<br />
　だから、考えてしまう。<br />
　シュナイゼルに頼まれて自分を預かってくれている二人は、一体自分のことをどう思っているのだろう、と。<br />
　普通ありえないことではないかと考えてしまう。だって、自分の子供でもないのに。まだ預かられて２日しか経っていないのだが、シュナイゼルの話し方だと、どうやらずっと自分をあの人たちにあずけるつもりだと、スザクは感じていた。<br />
　迷惑じゃないだろうか、というのが正直な気持ちだ。<br />
　だって、自分の子供じゃない。<br />
　もし本当に子供が出来たら、どうしようもないくらいに迷惑になってしまうんじゃないんだろうか、と考えると少し不安になる。<br />
　シュナイゼルに預かられることが決まったときは、彼自身からはっきりと告げられていた。「お邪魔じゃないですか」と尋ねたスザクに「邪魔なら引き取ったりしない」と。それでも不安だったから「お邪魔だったらちゃんと言ってくださいね」と何度も繰り返して呆れられたが。<br />
　そして、今がそのときだった。<br />
　邪魔、と言われたわけではないが、それと同じような状況だ。<br />
　あの騒ぎで、ひどく心配をさせてしまった。<br />
　そんなに心配されていると知って、本当に申し訳ないと思う気持ちと同時に、この人が本当に自分を大切にしてくれているんだということを感じて、ひどく苦しいけれど嬉しかったことを覚えている。<br />
　抱きしめられた腕に、この人のことが大好きだと思った。<br />
　――だから、あのままで居られないということも理解した。<br />
　大切に思ってくれているから、もしまた同じことがあったらと心配してくれているのだ。そして、大好きな人だからそんな心配を掛けたくなかった。<br />
　足かせにはなりたくなかった。<br />
　出会ってからこれまで、どれだけ迷惑を掛けてきたか分からない。それをそうと悟らせないようにしてくれていたが、それでも少しくらいは分かる。<br />
　だから、言われたとおりにした方がいいということも、同時に理解できた。<br />
　恐らくそれが一番いい方法なんだろう。あの人にとって。そして多分自分にとっても。<br />
<br />
　けれど、たったの二日で考えてしまった。<br />
　自分によくしてくれる二人に、考えずには居られなかった。<br />
　本当に、迷惑じゃないだろうか。いい人たちだから、嫌われたくないから、そう思ってしまった。<br />
<br />
<br />
**********<br />
好きになると、嫌われるのが怖くなる。自然な流れかと。<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/35</id>
    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://hfsuzaku.blog.shinobi.jp/%E9%80%A3%E8%BC%89%E4%B8%AD/%E3%81%9D%E3%82%8C%E3%81%AF%E3%80%81%E5%A4%A7%E5%88%87%E3%81%AA%E3%81%9F%E3%81%8B%E3%82%89%E3%82%82%E3%81%AE%EF%BC%88%EF%BC%91%EF%BC%90%EF%BC%89" />
    <published>2007-03-28T01:31:29+09:00</published> 
    <updated>2007-03-28T01:31:29+09:00</updated> 
    <category term="連載中" label="連載中" />
    <title>それは、大切なたからもの（１０）</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[（２日目　オマケ）<br />
<br />
『ロイド・アスプルンドさまよりコレクトコールでお電話が入っています。お出になられますか？』<br />
　告げられた内容にシュナイゼルは首を傾げる。<br />
　まだどことなくぼんやりとしている頭に、眉間を軽くマッサージしながら「繋いでくれ」と伝えると電子音が鳴って、電話の向こうの相手が切り替わる。<br />
「どうした、ロイ････」<br />
　わざわざお前から連絡してくるなど何かあったのか、と尋ねようとしたシュナイゼルの声は、電話の向こうの友人の甲高い声によって妨害される。<br />
『ねえねえねえ！！スザク君って何あの子！？』<br />
「････････何がだ？」<br />
　嫌でも目が覚めるロイドの声に、それを通り越して驚きすぎて心臓が立てる激しい音を聞いたシュナイゼルの声のトーンは自然と沈む。<br />
『すごいんだよ！ゲーム初めてやるのに、ボクの作ったゲーム、あっという間にクリアしちゃって！！しかも上級レベルとかでも余裕で！ちょっと信じられなかったから目の前でやってもらったんだけど、すごいんだよ。反射神経と動体視力とあと、神経の伝達速度なのかな？とにかく人間業とは思えないコントローラーさばきでものすごい速度でクリアしてくんだよ！』<br />
　分かるかい、と興奮した声で言われて、シュナイゼルは眩暈を覚える。<br />
　寝起きにこの声は、心臓に悪すぎる。<br />
「あのな、ロイド････」<br />
『なんだろうね、アレ！なんか鍛錬とかやってるみたいだしその賜物かな？ちょっといろいろ調べてみたいよね。きっとスゴイ運動神経とかしてると思うよ～。あと動体視力！あぁ、そうだ。そのあたりもうちょっと調べて････昔言ってたゲーム覚えてるかなあ？バーチャルリアリティ使った格闘シミュレーションゲームとか。あの子ならきっとスゴイと思うんだよね～』<br />
　ねえねえ聞いてる！？と告げられるに至って、シュナイゼルは息を吐き出す。<br />
「――聞いている」<br />
『やだなあ、反応ないから聞いてないのかと思ったよ』<br />
「今の会話のどこに反応を返す余地があったんだ････というか、お前こそ人の話を聞こうとしてくれ」<br />
　頼むから、と常にないような下手に出た口調で話してしまったのは、ひたすらに脳がロイドのマシンガントークに壊されかかっていたからだ。<br />
「そもそもお前、国際電話は高いからとかどうとか昨日言っていなかったか････？」<br />
　わざわざそんなことを言うために電話してくるなんて、と言うシュナイゼルの言葉にはロイドの抗議の声が上がる。すごいことなんだよ！！と。いやお前とは価値観が違うからと言ってやりたかったが、そんなことは無駄なことだと知っていた。むしろ熱く語られて更に疲れてしまうことだろう。<br />
『それに、ちゃんとコレクトコールで掛けてるから大丈夫！電話代高くても払うのがウチじゃなければセシル君には怒られないから！』<br />
「････････」<br />
　眩暈と同時に頭痛に襲われる。<br />
　電話代を惜しむ気はないが、問題はその精神の在り方だろう、と。<br />
　だが、どうしても一言だけ言いたかった。<br />
「ロイド････お前、電話してきた用件はそれだけなのか？」<br />
『それだけ、ってまたぁ。スゴイんだよ、あの子！君だってあの子のことはなんでも知っておきたいんでしょ？』<br />
　それはそうだが、と言ってしまえばその時点で負けたも同然なのだが、それでも今後のためにシュナイゼルはロイドに伝えなければならなかった。<br />
「ロイド････こちらが今何時か知っているか？」<br />
『え～、そんな時差なんていちいち覚えてないよ～。こっちは今昼の２時だけど、そっちは何時なわけぇ？』<br />
「明け方の５時だ。ちなみに眠ったのは２時なんだがな」<br />
『そうなんだぁ、じゃあまだ眠いよねぇ』<br />
「分かってくれるのか？お前が？」<br />
『分かるよ。ていうかボクを一体なんだと思ってるんだい君は。そっかぁ、じゃあお邪魔しちゃったねぇ。まだ時間あるならゆっくり眠ってね～！じゃ、おやすみ！』<br />
　がちゃり。<br />
「････････････････････････････」<br />
　覚醒しきった頭でも、一体何が起こったかわからなかったシュナイゼルは、受話器をじっと見詰めた。<br />
　――言いたいことはあった。<br />
　だが、彼の口から漏れたのは、ひたすら疲れ果てた溜息だけだった。<br />
　もう少し。もう少し寝てから考えよう。<br />
<br />
　まだ暗い窓を確認して、何故か最初に眠ったときよりも疲れ果ててシュナイゼルはベッドに横になった。<br />
　夜明けはもうすぐそこまでやってきていた。<br />
<br />
<br />
**********<br />
なんでうちのシュナイゼル様はこんなに弱いんだろう。<br />
いや最終的には強いと思いますけれどね。<br />
３日目からはもう少し短くなる････予定です。手のすべりに任せているので自信はありませんが。（痛）<br />]]> 
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    <author>
            <name>神津あきら</name>
        </author>
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    <id>hfsuzaku.blog.shinobi.jp://entry/34</id>
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    <published>2007-03-27T17:29:48+09:00</published> 
    <updated>2007-03-27T17:29:48+09:00</updated> 
    <category term="連載中" label="連載中" />
    <title>それは、大切なたからもの（９）</title>
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      <![CDATA[（２日目　その３）<br />
<br />
　昼食を食べてしばらくくつろいだ後、ロイドは書斎（というよりも、むしろラボと呼ぶ方が適切な部屋ではあるが）に篭ろうとした。<br />
　そこに、片づけを手伝い終えたスザクが軽い足音を響かせながら声を掛けた。<br />
「ロイドさん、これ、ありがとうございました」<br />
　その手には、昨晩スザクの部屋にとりつけたゲーム機用のソフトがある。スザクのような子供が好みそうなもの、ということでロイドが選んだのはシューティングゲームだった。レベルがそれなりに分けられていて、初心者用から上級者用までかなり楽しむことができる。スザクはゲームをするのは初めてということだから、こういった単純なものがいいだろうということで選び、とりあえず１本と渡したものだ。<br />
「ん～、どうかした？」<br />
「え？あ、面白かったです。また何か遊んでもよさそうなものあったら、よかったら貸してください」<br />
「････え？」<br />
　ちょっと意味がよく分からないんだけど、とロイドは首を傾げる。<br />
　どうも美味く会話がかみ合っていない。<br />
「もういいっていうこと？」<br />
「えーっと？」<br />
「もうやりたくない？面白くなかった？」<br />
　ひょっとしてつまらなかったのだろうか。アウトドア派の子供はゲームなんてそんなに楽しめないんだろうか、とスザクが自分の嗜好には沿わないことを、ロイドはつまらなく思おうとした。<br />
「やりたくない、っていうか････クリアしちゃったから、とりあえずお返ししようかな、と」<br />
「････････は？」<br />
「えーっと、面白かったです、本当に」<br />
　ロイドの反応に、スザクはどう返せばいいのか分からなくなる。<br />
　そのロイドは、今の会話をもう一度頭の中で整理する。<br />
（クリアした？）<br />
　確かやり始めたのは昨晩だったはずだが。<br />
　内容としてはそんなに難しいものではない。操作ミスさえなければ一時間強ほどでクリアすることは出来るだろう。だが、そのレベルに至るまでには、何度も全滅を繰り返しつつ、敵の配置を覚えつつ、操作に慣れていくという過程が必要なはずだ。<br />
　昨日の夜始めた時点では、スザクは本当の本当に初心者だったはずだ。<br />
　これで方向を決めて、これでミサイルを発射して、と事細かに説明したのはロイド自身だったのだからそれは間違いない。<br />
「えーと、参考までにレベルは？」<br />
「あ、昨日初心者向けと中級者向けのクリア出来たから、今日上級者やってみました。一回全滅しちゃったんですけど」<br />
　困ったように笑う子供の言葉には、嘘も見栄もないような気がした。<br />
　だが、ロイドの経験からそれはちょっと有り得ない。<br />
「一回？昨日は？」<br />
「一番最初だけ何機か壊しましたけど、だんだん操作に慣れたら結構できました。あ、でもタイムとかはよく分からないんですけど。得点とか。いいのか悪いのか」<br />
「････････まだデータ残ってるよね？」<br />
「はい」<br />
「よし、ちょっと見てみよう！」<br />
「え？あ、の、ロイドさん？」<br />
　背中を押されて自分の部屋に向かって歩かされるスザクには、訳が分からなかった。<br />
<br />
「････････････････」<br />
　メモリに入っているデータには、クリアの日時と得点が書き込まれている。<br />
　それを眺めながら、ロイドは固まるしかなかった。<br />
　確かに、スザクは嘘などひとつもついていない。もしかしてセシルがクリアしているんじゃないかなんて疑いを一瞬抱いてしまったが、この得点は彼女にも叩き出せないものだ。初級レベルは確かに言っていた通り、何機か撃墜されて時間もそこそこ掛かっている。――が、よく見てみるとそれは１回目のトライではないのだろうかと思う時間で行われたものだ。<br />
　それを証明するように、その１時間後に、中級レベルがクリアされている。こちらは１機撃墜されただけで、クリア時間も無駄がほとんどない。<br />
　そして上級者レベル。そこそこ以上に難しく作ってあったはずだったのだが、見事にクリアされている。<br />
　ちょっと待ってよありえないでしょう、というのがロイドの感想だった。<br />
「ロイドさん？」<br />
「････････」<br />
　スザクの呼びかけを黙殺して、ロイドは立ち上がる。<br />
　そしてラボに入り、セシルが整理した棚の中にあるソフトの中から、３つほど選んでスザクの部屋に持ち込んだ。<br />
「ちょっとこれやってみてくれる？」<br />
　データは見た。<br />
　だが、ちょっと信じられないことというのは世の中にはあるのだ。<br />
　だったら、自分の目で確かめるしかない。<br />
　ロイドは持ち込んだソフトを本体にセットして、スザクにコントローラーを握らせた。操作を説明して、ゲームをスタートする。<br />
<br />
　三十分後には、興奮して階段を駆け降り、大喜びでセシルに説明したあと、受話器を手に取るロイドの姿があった。<br />
<br />
<br />
**********<br />
開発中のゲームで「アーサー王　最強の円卓の騎士」とかあったら笑える。＜････<br />
というわけで、二日目はこんな感じで。今晩（というか、いつものことながら日付は変わっていると思いますが）くらいにオマケをＵＰして二日目終了したいと思います。<br />]]> 
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            <name>神津あきら</name>
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