幸せ家族製作所
2007年某月某日 不幸な少年をどうしても幸福にしたくて作りました。
2007'04.01.Sun
(3日目 その3 ロイドの不思議)
可愛い子だとは思う。
面白い素材だとは思う。
けど、そこまで肩入れするのはどうかと思うんだけど。
セシルが撮った写真をふと眺めてみて、思わず頬と口元が緩む。ぬいぐるみと子供、という取り合わせは誰でやってもそれなりに可愛くなるだろうけれど、12歳の少年ということを考慮すると、これは多分特別に可愛いと表現して差し支えないのではないだろうかとロイドは思う。
が、まあそれは結果論だ。
こういう組み合わせを考え実行した友人のことを考えると、少しばかり寒い気持ちにもなる。
それに。シュナイゼルといい、セシルといい、あそこまで他人の子供を可愛がる気持ちは、ロイドには理解しがたい。(いやそもそも自分の子供であっても彼には理解しがたいのだが)
面白い子供だとは思った。
彼らとは別の意味で。
反射神経の塊のような子供だった。たかがゲーム、されどゲーム。難度の高さが売りのシューティングゲームや格闘ゲームをああまで見事にこなすその反射速度と動体視力は文句のつけようもないし、ついでにいうのなら頭も悪くない。前々から試してみたいと思っていた新システムも、あの子なら面白い結果が出るだろう。
そういう意味では、ひどく興味深い。
一緒に暮らすのも、悪くないかも知れない。
ただ、それはあくまで素材としてだ。
あの二人のように、愛情を傾けて可愛がって大事にして、そしてそれで喜ぶなんていう真似は到底出来ない。
『スザク君、なんだか普通母親がやってくれそうなことをあの年で出来てしまうんですよね…もしかしてお母さんがいないのかしら』
いや世の中には多分そういう子供はそこそこ居るからそうかも知れない、と答えたら怖い目をされたので「じゃあ直接本人に聞いてこようか」と言ったら力いっぱいセシルに殴られてしまった。
もうほとんど過保護な母親に片足を突っ込んでいるセシルを眺めて、さてどうしようなどとロイドは思ってしまう。
そういうものを期待されるのは困るのだ。
何故そんな無神経なことを言うのかと聞かれても、困るのだ。
素材として興味を抱くことは出来るのだけれど、それ以上を求められても困る。自分がそういう人間だということは、セシルもよく分かっているだろうに、と考えてしまう。
ロイドは溜息を吐いた。
――ふと、視線を感じた。
振り返ってみれば、そこにはスザクが居て、慌てたように視線を逸らして何も見ていないとでもいうようにぱたぱたと走り去ってしまった。
不思議な顔をしていた。
不安そうな、辛そうな。
(何考えてるのかなあ?)
あまりいいことではないような気がする。
あのスザクという少年は、あの年の子供にしてはいろいろなことを経験しているせいか、どうも抱え込んで考えてしまう傾向があるようだ、とはシュナイゼルが時折ぼやいている言葉だ。
あれは、多分そういう表情だ。
自分は何かやってしまっただろうか。
困ったような、不安げな、辛そうな表情。分かり難いそれは、けれど放っておいてはいけないような気がして、ロイドは思わずと言った風に立ち上がりかけて、ふと気付く。
(あれ?なんで僕が?)
おかしい。
さっきまで考えていたことと、何か違うことをしようとしていた気がする。
ちょっと待て、と自分に命じてもう一度腰を下ろす。こんなのらしくないじゃないか、と。そわそわとなってしまう自分を感じて、首を捻る。
(あれぇ?)
なんだろう、これは。
**********
ロイドさんは、無自覚。ていうか、自覚するのに少しばかり時間が掛かる。むしろ指摘されたら否定したくなる感じに。
…でもいつかは認めなきゃならない。
23話、あのロイドさんは心配していました。スザクのことを。多分、同情もしていたと思う。そういうのを見せないように、出さないようにしている人だと思うのに、ああいう表情を見せたことに少し驚いた。あの人、いい人だ…
特派だけは心の安らぎだと思いました。
ちなみに同居人はロイドさんの「わぁお、もう何がなんだかぁ~」(のような台詞)に、力いっぱい頷いていました。
可愛い子だとは思う。
面白い素材だとは思う。
けど、そこまで肩入れするのはどうかと思うんだけど。
セシルが撮った写真をふと眺めてみて、思わず頬と口元が緩む。ぬいぐるみと子供、という取り合わせは誰でやってもそれなりに可愛くなるだろうけれど、12歳の少年ということを考慮すると、これは多分特別に可愛いと表現して差し支えないのではないだろうかとロイドは思う。
が、まあそれは結果論だ。
こういう組み合わせを考え実行した友人のことを考えると、少しばかり寒い気持ちにもなる。
それに。シュナイゼルといい、セシルといい、あそこまで他人の子供を可愛がる気持ちは、ロイドには理解しがたい。(いやそもそも自分の子供であっても彼には理解しがたいのだが)
面白い子供だとは思った。
彼らとは別の意味で。
反射神経の塊のような子供だった。たかがゲーム、されどゲーム。難度の高さが売りのシューティングゲームや格闘ゲームをああまで見事にこなすその反射速度と動体視力は文句のつけようもないし、ついでにいうのなら頭も悪くない。前々から試してみたいと思っていた新システムも、あの子なら面白い結果が出るだろう。
そういう意味では、ひどく興味深い。
一緒に暮らすのも、悪くないかも知れない。
ただ、それはあくまで素材としてだ。
あの二人のように、愛情を傾けて可愛がって大事にして、そしてそれで喜ぶなんていう真似は到底出来ない。
『スザク君、なんだか普通母親がやってくれそうなことをあの年で出来てしまうんですよね…もしかしてお母さんがいないのかしら』
いや世の中には多分そういう子供はそこそこ居るからそうかも知れない、と答えたら怖い目をされたので「じゃあ直接本人に聞いてこようか」と言ったら力いっぱいセシルに殴られてしまった。
もうほとんど過保護な母親に片足を突っ込んでいるセシルを眺めて、さてどうしようなどとロイドは思ってしまう。
そういうものを期待されるのは困るのだ。
何故そんな無神経なことを言うのかと聞かれても、困るのだ。
素材として興味を抱くことは出来るのだけれど、それ以上を求められても困る。自分がそういう人間だということは、セシルもよく分かっているだろうに、と考えてしまう。
ロイドは溜息を吐いた。
――ふと、視線を感じた。
振り返ってみれば、そこにはスザクが居て、慌てたように視線を逸らして何も見ていないとでもいうようにぱたぱたと走り去ってしまった。
不思議な顔をしていた。
不安そうな、辛そうな。
(何考えてるのかなあ?)
あまりいいことではないような気がする。
あのスザクという少年は、あの年の子供にしてはいろいろなことを経験しているせいか、どうも抱え込んで考えてしまう傾向があるようだ、とはシュナイゼルが時折ぼやいている言葉だ。
あれは、多分そういう表情だ。
自分は何かやってしまっただろうか。
困ったような、不安げな、辛そうな表情。分かり難いそれは、けれど放っておいてはいけないような気がして、ロイドは思わずと言った風に立ち上がりかけて、ふと気付く。
(あれ?なんで僕が?)
おかしい。
さっきまで考えていたことと、何か違うことをしようとしていた気がする。
ちょっと待て、と自分に命じてもう一度腰を下ろす。こんなのらしくないじゃないか、と。そわそわとなってしまう自分を感じて、首を捻る。
(あれぇ?)
なんだろう、これは。
**********
ロイドさんは、無自覚。ていうか、自覚するのに少しばかり時間が掛かる。むしろ指摘されたら否定したくなる感じに。
…でもいつかは認めなきゃならない。
23話、あのロイドさんは心配していました。スザクのことを。多分、同情もしていたと思う。そういうのを見せないように、出さないようにしている人だと思うのに、ああいう表情を見せたことに少し驚いた。あの人、いい人だ…
特派だけは心の安らぎだと思いました。
ちなみに同居人はロイドさんの「わぁお、もう何がなんだかぁ~」(のような台詞)に、力いっぱい頷いていました。
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