幸せ家族製作所
2007年某月某日 不幸な少年をどうしても幸福にしたくて作りました。
2007'04.16.Mon
(3日目 その4 スザクの不安)
ぼすり、とベッドに飛び込む。
枕に顔を押し付けるようにすると、目に滲んでいた涙が染みこんでいく。泣いているつもりなどなかったのに、涙が浮かんでいたことにそのときやっと気付いた。
――考えすぎなのかも知れない。
けれど、なんとなくそうなのだと感じてしまった。そして感じた途端に、ふと振り返ったロイドと視線が合ってしまい、スザクは慌てて逃げ出してしまった。
(どうしよう)
こんな風に逃げ出したら、余計におかしいんじゃないだろうか。
こんな風にしたら、シュナイゼルなどは見事に逃げ出す前に捕まえて理由を聞きだそうとする。別に、何かおかしなところを見てしまったわけではないのだから、こんな態度をとらなくてもよかったのに。
丁度、考えていたこととぴったりと合ってしまうようなロイドの様子だったのだ。
迷惑じゃないだろうかと考えていた。
そうしたら、考え込むようにして、それから重い溜息を吐くロイドの姿があった。
――ああ、自分のせいだと、思った。
ロイドには似つかわしくない溜息。それを吐かせているのは、きっと自分だと。そう思ったら泣き出しそうになって、逃げるように駆け出していた。
考えすぎなのかもしれない。
けれど、思わずには居られなかった。
どうしよう、という言葉が頭を駆け巡る。あんな態度を取ってしまった。自分の思い込みなだけかも知れないのに、あんな態度を取ってしまったら、次にどんな顔をして自分はロイドを見たらいいのだろう。どうしたんだと聞かれたらどう答えたらいいのだろう。
どうして、逃げてしまったりしたのか。
(どう、しよう)
どうしたらいいのか、誰か教えて欲しかった。頭の中がぐちゃぐちゃで、誰かに教えて欲しかった。
「シュナイゼル、さん――」
ぽつりと声が漏れてしまった。
ひっく、と自分の咽が鳴る。
金色の髪と、菫色の瞳と、優しい声が記憶の中によみがえる。今まで生きてきた中で、一番優しかった人。優しいばかりではないけれど、だからこそ一番優しいと思えた、人。いろんなことを教えてくれて、生きるということを教えてくれた人。
父でも母でもなく、こんなとき、助けて欲しいと顔が浮かんでしまったことに、驚く。
会いたいと思ってしまった。
けれど、今彼が居る場所を考えればそんなことは不可能だと分かる。声だけでもと思うけれど、外国なんてどうやって電話をしたらいいかも分からない。
「僕、どうしたら、いいんだろう」
ロイドさん、絶対に変に思っている、とスザクは小さく呟いた。
顔を、合わせづらい。
どうしようと、そればかり考えているスザクの耳に、今一番聞きたくなかった声が聞こえて来たのは、そんなことを悩み始めてしばらく経ってからのことだった。
ノックの音に続いて、特徴のある声が響く。
「スザク君~、ちょっといいかなあ?」
**********
次の日に突入しようと思っていた気がするんですが、何故かこのまま同日内でやってしまうことにしました。(話と話の間が2週間も空いてしまったことは内緒の話です<内緒になるかい)
またちまちまと頑張ります!
ぼすり、とベッドに飛び込む。
枕に顔を押し付けるようにすると、目に滲んでいた涙が染みこんでいく。泣いているつもりなどなかったのに、涙が浮かんでいたことにそのときやっと気付いた。
――考えすぎなのかも知れない。
けれど、なんとなくそうなのだと感じてしまった。そして感じた途端に、ふと振り返ったロイドと視線が合ってしまい、スザクは慌てて逃げ出してしまった。
(どうしよう)
こんな風に逃げ出したら、余計におかしいんじゃないだろうか。
こんな風にしたら、シュナイゼルなどは見事に逃げ出す前に捕まえて理由を聞きだそうとする。別に、何かおかしなところを見てしまったわけではないのだから、こんな態度をとらなくてもよかったのに。
丁度、考えていたこととぴったりと合ってしまうようなロイドの様子だったのだ。
迷惑じゃないだろうかと考えていた。
そうしたら、考え込むようにして、それから重い溜息を吐くロイドの姿があった。
――ああ、自分のせいだと、思った。
ロイドには似つかわしくない溜息。それを吐かせているのは、きっと自分だと。そう思ったら泣き出しそうになって、逃げるように駆け出していた。
考えすぎなのかもしれない。
けれど、思わずには居られなかった。
どうしよう、という言葉が頭を駆け巡る。あんな態度を取ってしまった。自分の思い込みなだけかも知れないのに、あんな態度を取ってしまったら、次にどんな顔をして自分はロイドを見たらいいのだろう。どうしたんだと聞かれたらどう答えたらいいのだろう。
どうして、逃げてしまったりしたのか。
(どう、しよう)
どうしたらいいのか、誰か教えて欲しかった。頭の中がぐちゃぐちゃで、誰かに教えて欲しかった。
「シュナイゼル、さん――」
ぽつりと声が漏れてしまった。
ひっく、と自分の咽が鳴る。
金色の髪と、菫色の瞳と、優しい声が記憶の中によみがえる。今まで生きてきた中で、一番優しかった人。優しいばかりではないけれど、だからこそ一番優しいと思えた、人。いろんなことを教えてくれて、生きるということを教えてくれた人。
父でも母でもなく、こんなとき、助けて欲しいと顔が浮かんでしまったことに、驚く。
会いたいと思ってしまった。
けれど、今彼が居る場所を考えればそんなことは不可能だと分かる。声だけでもと思うけれど、外国なんてどうやって電話をしたらいいかも分からない。
「僕、どうしたら、いいんだろう」
ロイドさん、絶対に変に思っている、とスザクは小さく呟いた。
顔を、合わせづらい。
どうしようと、そればかり考えているスザクの耳に、今一番聞きたくなかった声が聞こえて来たのは、そんなことを悩み始めてしばらく経ってからのことだった。
ノックの音に続いて、特徴のある声が響く。
「スザク君~、ちょっといいかなあ?」
**********
次の日に突入しようと思っていた気がするんですが、何故かこのまま同日内でやってしまうことにしました。(話と話の間が2週間も空いてしまったことは内緒の話です<内緒になるかい)
またちまちまと頑張ります!
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