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幸せ家族製作所

2007年某月某日 不幸な少年をどうしても幸福にしたくて作りました。

2024'11.16.Sat
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2007'03.25.Sun

(1日目 オマケ)

「――ドチラサマデショウ」
 思わず取った受話器をそのまま置いてしまいたい気分に駆られたのは何故だろう。
『ご挨拶だな。スザクは元気か?』
「・・・・ええと、ここで病気ですとか言ったらどうなるわけ?帰ってくるわけ?ていうかさあ、まだお宅のぼっちゃんおあずかりしてから12時間くらいしか経ってないと思うんだけど、何?着いて早々電話かけてきたってわけ?安くもない国際電話を?」
 何考えてんだかさっぱり分かりません、とロイドは矢継ぎ早に言葉を投げつける。
 分かっていたつもりだったが、自分はよくは分かっていなかったらしい。
(何、この愛情。子煩悩?すっごい似合わないんですけど。ていうか自分の子供でもない子のためにそんなことするのってどうかと思う。あの子は一体あなたのなんなんですかとか聞いてやりたい)
 返ってくる答えが恐ろしくて聞けないが。
『お前に電話代を払えと言うつもりはないから、安心しろ。それで、どうなんだ?』
 聞きたいことはそれだけですか、と言ってしまいたかった。
「今お風呂だよ。最初セシル君が入れようとして、逃げられてたみたいだ」
『・・・・・・・・まあ、それはそうだろうな』
「セシル君、あの子のこと、7、8歳だと思ってるんだかねえ?真っ赤になってたから面白かったけど」
 学校に行っていれば来年には中学生になろうという少年だ。さすがに妙齢の女性とお風呂はないだろう、と。
 確かに童顔で少々幼くは見えるがそれにしたって・・・・とロイドは苦笑してしまう。いやさっきは腹を抱えて大笑いしたわけなのだが。
「助けて下さい~、って目で見られてなかなか楽しかったよ~」
『・・・・・・・・』
 一瞬生まれた沈黙にロイドは首をかしげ、そして耳から離した受話器をまじまじと見詰めてしまう。
(これはアレ?もしかしてアレ?こんなささいなことで?)
 まずい。噴出しそうだ。
「あの子、可愛いよね~。セシル君も可愛い可愛いって言ってるしさ。あなたがやたらと可愛がる理由も分かるよ~」
 いや実際は半分も分からないのだが。(それでも多少は理解できてしまうのが、少しだけ怖い話なのだが)
『・・・・・・・・』
 またも続く沈黙に、ロイドは今度こそ噴出した。
 あの、シュナイゼルが。
 笑顔とそのすばらしい弁論で全てのことを煙に巻くシュナイゼルが、言葉に詰まっている。しかもこんな笑ってしまうようなことで。
「なにあなた、ひょっとしてやきもち?寂しいの?たった一日で?今までもあったでしょうに」
 あはははは、とロイドは盛大に笑う。電話の向こうでシュナイゼルがどんな顔をしているのか想像できたのだ。普段の外面をはずして、見事に憮然とした顔をしているのだろう。あの鉄面皮ならぬ鉄の微笑みがこんなに簡単に崩れるなんて!
 いやいろいろ見てきたけれど、それにしたってこんなささいな、可愛らしい理由で!
 とてつもなくおかしくてならなかった。シュナイゼルが可愛いだなんて、と。
『ロイド』
「なぁにぃ~?」
 笑いながら答える。
 不機嫌な声が聞こえてくるが、あいにくとそんなものが怖いと思えるほど可愛らしい性格してないんだよね、とロイドは止まらない笑いで答える。

 ――結局その笑いは、スザクが風呂から上がって電話を変わるまで続いた。


**********
こんなワンシーンもいいかな、と。
そのうちあれです。ぬいぐるみの話を書きたい。シュナイゼル様がスザクの横にぬいぐるみを置く話。
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